- 弓道の的って2種類あるの?
- 理由を教えてください。
2種類の的って何?
・霞的(かすみまと)
白地に大中小3つの黒い円が描かれた的です。
弓道の的と言われて真っ先に思い浮かぶ形かもしれません。
社会人弓道や、高校弓道で用いられることが多いです。
・星的(ほしまと)
白地の中心に1つの黒い丸が描かれた的です。
主に大学弓道で用いられています。
2種類の的は霞的と星的です。
私は星的の方が好きですね。
外側が白くて大きく見えるからです。
弓道教本ではどう記述されているの?
弓道教本では「行射の心得」の一項目として、的について解説があります。
小的(近的)には霞的と星的とがあり、現在一般に霞的が用いられ、星的は練習用に使用されている。(略)
引用元:弓道教本 第一巻 射法編 P187
星的は練習用と紹介されていますね。
確かに社会人になってからは試合で星的を見たことがありません。
でも、単にデザインが違うだけではないみたい。
見た目にも大きく違う2種類の的ですが、その理由を探るには弓道の歴史を遡らなければなりません。
以下に挙げる2種類の違いがデザインの相違を生んだとされています。
- 本来の目的の違い
- 起源の違い
霞的は中国由来?
古代中国では「射」は六芸の一つとされ、身分やグレードにより「大射(たいしゃ)」「賓射(ひんしゃ)」「郷射(きょうしゃ)」と分けられていた。…(中略)…グレード別に三段階の的があった。「続日本紀」には文武天皇が大射を行うときに的を外院、中院、内院と三段階に分け、録法を定め、それぞれによって報償を与えたとある。三段階に分けたのは中国の射礼(候、鵠、正)に倣い、大的に三本の輪を描いたものと考えられる。これが、現在の霞的の同心円三本輪の根拠である。
このように、文武天皇が中国の射礼に倣って的に円を描いたところにルーツがあるようです。
かなり格式高いような印象を受けるので、重要な演武等の際に使用されることに納得がいきます。
ただ、現在では一般弓道家にもなじみが深いというのは、変化や変遷があったものと推測されます。
星的は呪術の道具?
破魔弓・破魔矢は本来は濱弓・濱矢でハマとは的のことである。…(中略)…この(ハマ)を射るのが(はま弓はま矢)ということで、正月の行事とされているが、この的(ハマ)は太陽を表し、元々は冬至の一番弱くなった太陽を弓矢で射ることによって復活させる呪術だった。
霞的とはうってかわって、オカルト的な要素が含まれています。
神棚がある弓道場も多いですから、神仏の祈祷に使われていたとしても不思議ではありませんね。
あとがき
霞的は起源をたどっても、高段位称号保有者の演武に見合った格式高い的だとわかりました。
次の稽古の際には少し背筋が伸びるのではないでしょうか。
もちろん、星的がよくないというわけではないので悪しからず。
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