- ワシタカ類の羽根ってかっこいい!
- 使っていい羽根と禁止の羽根があるの?
- 違いを詳しく教えて!
- 私の矢の羽根は大丈夫かな?
そんな悩みにお答えします。
※この記事では、ワシタカ類の羽根について特集します。
矢全般について知りたい方は過去記事もご参照下さい。
ワシタカ類の羽根の特徴
ワシタカ類の羽根は丈夫ですり減りにくいという特徴があります。
柄が美しく、弓道愛好家の中では最も好まれる矢羽根です。
羽根のランク
同じワシでもどの部位に生えている羽根かでランクが違います。
一羽からあまりとれない希少性の高い羽根や、丈夫な羽根は高価で高級です。
おおまかに羽根のランクは以下の通りです。
- 石打(いしうち)
- 尾羽
- 風切(かざきり)
- 手羽
※上から順に高級
尾羽の中でも両端にある石打(いしうち)の羽根は上質です。
石打は尾羽が閉じているときに一番下になる羽根なので、特に丈夫と言われています。
手羽より尾羽のほうが高級です。
尾羽は地面に擦れることも多く、丈夫な羽根だからです。
手羽の中では、風切(かざきり)の羽根が上質です。
体より外側の羽根のほうが高級とされています。
手羽はナタと呼ばれる部分と、ホロと呼ばれる部分があります。
区別せず、手羽と総称することも多いです。
羽根の名称
弓道に使う矢の羽根は、羽軸を中心に2枚とれます。
片側を開き、もう片方を櫂方(貝方)と言います。
幅が広いほうが開き、狭いほうが櫂方です。
矢羽根に使われるのは軸に近い部分だけなので、軸より遠い部分はカットされてしまいます。
したがって、開きのほうが切断面が厚くかたくなり、強弓に向いていると言われます。
反対に、櫂方は切断面が薄く柔らかいので、弱弓に向いていると言われます。
羽軸で裂いた3枚の羽根を、模様をそろえて矢に矧ぐことで矢羽根となります。
甲矢は行射の際に正面から見ると表が向いています。
反対に、乙矢は行射の際に射手側に表が向きます。
ワシタカ類の羽根の注意点
矢羽根に使われるワシタカ類の羽根には使用制限があるものもあります。
ワシントン条約による輸入制限や絶滅危惧種という事情を加味して、全日本弓道連盟では平成27年に通達を出しました。
その通達により、使用制限がかけられたものは以下の通りです。
- 保有のみ オジロワシ(ことり粕尾、粕尾、薄兵)、オオワシ(大鳥)
- 条件付きで使用や譲渡可 イヌワシ(犬鷲、熊鷲)、オオタカ(大鷹)、オガサワラノスリ(小笠原鵟)、カンムリワシ(冠鷲)、クマタカ(熊鷹)
- 自由に使用も譲渡も可 ソウゲンワシ(磯鷲)、ハチクマタカ(蜂熊)、オオノスリ・コノスリ(白鷹)、キガシラウミワシ・カクタカ(中白)、クロハゲワシ・バカワシ(黒鷲)、オオサイチョウ(中黒)、ヒゲワシ(灰鷲)など
種族の名称と、弓道で用いられる羽根の名称は異なります。
弓道での通称は、羽根の見た目や模様によって決められることが多いです。
例:黒い羽根の中央部分が白い羽根:中白 など
保有のみ、使用禁止の羽根
以下の羽根は保有しか認められていません。
使用や譲渡は禁止されていますので、ご注意ください。
オジロワシ(ことり粕尾、粕尾、薄兵)
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出世魚のように、羽根の名前も変わります。
成長していくにつれ、模様の変化が楽しめます。
黒羽を染め抜き加工して似せたものも販売されています。
ワシントン条約で付属書Ⅰ(商業取引を原則禁止とする)にリストアップされています。
絶滅危惧Ⅱ類(絶滅の危険が増大している)にリストアップされています。
オオワシ(大鷲)
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オオワシは本州最大のワシです。
翼が厚く、幅が広いです。
ワシントン条約で付属書Ⅱ(輸出国の許可があれば商業取引を行うことが可能)にリストアップされています。
絶滅危惧Ⅱ類(絶滅の危険が増大している)にリストアップされています。
出所の明示で使用や譲渡できる羽根
イヌワシ(若鳥:犬鷲、成鳥:熊鷲)
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全身がほぼ黒褐色で覆われています。
若鳥である犬鷲の羽根には、大きな白い斑点が見られます。
尾羽の根元も白色です。
成鳥になると熊鷲と呼ばれるようになります。
ワシントン条約で付属書Ⅱ(輸出国の許可があれば商業取引を行うことが可能)にリストアップされています。
絶滅危惧ⅠB類(近い将来野生での絶滅の危険性が高いもの)にリストアップされています。
オオタカ(大鷹)
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オオタカの羽根は少し青みがかっています。
もともとアオタカと呼ばれていました。
ワシントン条約で付属書Ⅱ(輸出国の許可があれば商業取引を行うことが可能)にリストアップされています。
絶滅の恐れがあるカテゴリーから外れ、準絶滅危惧種に選定されました。
オガサワラノスリ(小笠原鵟)
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ワシタカ類の一種、鵟(ノスリ)の亜種です。
小笠原諸島に生息しています。
ワシントン条約で付属書Ⅱ(輸出国の許可があれば商業取引を行うことが可能)にリストアップされています。
絶滅危惧ⅠB類(近い将来野生での絶滅の危険性が高いもの)にリストアップされています。
カンムリワシ(冠鷲)
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全身が黒褐色で覆われており、小さな白斑や黒班がまだらにあります。
ワシントン条約で付属書Ⅱ(輸出国の許可があれば商業取引を行うことが可能)にリストアップされています。
絶滅危惧ⅠA類(近い将来野生での絶滅の危険性が高いもの)にリストアップされています。
クマタカ(熊鷹)
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翼と尾にある横斑が特徴的です。
ワシントン条約で付属書Ⅱ(輸出国の許可があれば商業取引を行うことが可能)にリストアップされています。
絶滅危惧ⅠB類(近い将来野生での絶滅の危険性が高いもの)にリストアップされています。
自由に使用や譲渡ができる羽根
ソウゲンワシ(磯鷲)
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黒褐色で覆われており、茶色や黄色、赤色などが混ざった変化ある色味をしています。
ワシントン条約で付属書Ⅱ(輸出国の許可があれば商業取引を行うことが可能)にリストアップされています。
ハチクマタカ(蜂熊)
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純白、褐色、黒褐色と、様々な濃度のものがあります。
風切と尾羽の暗色帯が特徴的です。
ワシントン条約で付属書Ⅱ(輸出国の許可があれば商業取引を行うことが可能)にリストアップされています。
準絶滅危惧種です。2019年時点では不要ですが、将来的にトレーサビリティが必要になる可能性もあります。
ノスリ(白鷹)
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尾は褐色で、不明瞭な暗色帯があります。
斑点が目立ちます。
ワシントン条約で付属書Ⅱ(輸出国の許可があれば商業取引を行うことが可能)にリストアップされています。
キガシラウミワシ(中白)
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地色は黒褐色で、羽根の中央部分が白くなっています。
ワシントン条約で付属書Ⅱ(輸出国の許可があれば商業取引を行うことが可能)にリストアップされています。
クロハゲワシ(黒鷲)
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みんな大好き黒鷲です。
ワシントン条約で付属書Ⅱ(輸出国の許可があれば商業取引を行うことが可能)にリストアップされています。
オオサイチョウ(中黒)
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翼は黒色で、白い帯状の模様があります。
ワシントン条約で付属書Ⅱ(輸出国の許可があれば商業取引を行うことが可能)にリストアップされています。
ヒゲワシ(灰鷲)
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羽根はもともと白色ですが、成熟すると汚泥に浸かり色を変えます。
ワシントン条約で付属書Ⅱ(輸出国の許可があれば商業取引を行うことが可能)にリストアップされています。
あとがき
矢羽根には様々な種類があります。
今は使えない貴重な羽根もありますが、染め抜き加工により、似た模様の羽根に再現することも可能です。
気に入った羽根を見つけてみてください。