- 遠的のやり方がわからない。
- 射法や道具を変えなければいけないの?
そんなお悩みにお応えします。
弓道の遠的競技とは。
遠的でも近的と同じように、射法八節に則って行射します。ただし的までの距離が28mから60mと遠くなるので、そのまま飛ばしても的まで届きません。ちょっとした工夫が必要です。
射法は大きく変わらないんだ!
また弓道の国体では、近的のほか遠的も競います。国体選手に選ばれるには、遠近どちらも高水準の的中を出す必要があるのです。公式ルールでは直径100cmの色的を用いて、中心から近いほど得点が高くなります。高得点から順に10点、9点、7点、5点、3点です。4射で30点以上とれれば国体入賞が見えてきます。
遠的のポイントは胴造り。
遠くまで力強く矢を飛ばすには、胴造りの工夫が不可欠です。弓道の胴造りには5種類あります。
- 反る胴 … 上体が後方に反るもの
- 屈む胴 … 上体が前にかがむもの
- 懸る胴 … 体が的の方に傾くもの
- 退く胴 … 体が右に傾くもの
- 中胴 …… 中正な胴造りで体の重心の最も安定したもの
参照元:弓道教本第一巻射法編107頁-108頁
上記については、【2019年度版】弓道の学科試験問題「五胴」の解答例【五段審査】において詳しく解説しています。
近的で良しとされているのは中胴です。むしろ中胴こそ正義だと考えている方も多いのではないでしょうか。
遠的では退く胴によって飛距離を調整します。実際に弓道教本にも遠くを狙う場合は退く胴、28mより近くを狙う場合は懸る胴と例が挙げられています。
胴を変化させるタイミングは、大三と会の2パターンがあります。いわゆる「腰きり」です。会で退く方法が一般によく知られています。自分の得意な方法を模索しましょう。また強弓を使用する射手は胴造りを調整しません。矢線を上げることで遠くに飛ばす方法もあります。
矢数をかけて自分のものにする。
胴造りを変えるのは大三以降とはいっても、感覚の変化は避けられません。射手からするとちょっとした変化も大きく感じられるものです。矢数をかけて自分のものにしましょう。
狙いは経験者に見てもらって正しい的付けを確認します。矢摺籐の上から何番目に的を付けるなど、弓との関係性で覚えるのがいいですね。弓道を始めたころの気持ちに立ちかえり、少しずつ感覚をつかんでいきましょう。
遠的を始めてすぐは、矢線方向の伸びが分かりづらいかもしれません。近的のように真横に伸びていると、矢は的まで届かないのです。退いた胴に合わせて矢線方向に伸び合い、離れを出すことを意識するようにしましょう。
おすすめの遠的矢5選
遠的に本気で取り組む方は必要です。
初心者でなければ、近的矢を流用することはありません。近的矢よりも細く軽いのが特徴です。また空気抵抗を減らすため、矢羽が短く羽山が低くなっています。 遠的専用の矢を使用しましょう。
おすすめの遠的用ジュラルミン矢
弓の強さに合わせて矢の太さを選ぶ必要があります。遠的では近的の倍以上の距離を飛ばさなければなりません。 まず矢を60メートル先の的まで届かせることが先決です。 近的矢より一回り細く軽い1813や1912の矢がおすすめです。
また矢羽には柔らかい水鳥の羽根が使用されることが多いです。白い羽根は優雅に飛ぶ白鳥を思い起こさせます。美しいですね。
強弓を使う方におすすめの遠的用ジュラルミン矢
弓の強さが17キロ以上の場合は、2013の矢も検討しましょう。遠的はちゃんと飛距離を出しつつも、狙ったところに飛ばさなければなりません。自分に合った矢を選択し、矢所を集めていきましょう。
おすすめの遠的用カーボン矢
遠的にカーボン矢を使用するメリットは2点あります。
1つ目に、軽くて丈夫なところです。遠くの的まで飛ばすのに、軽さは武器になります。軽すぎて矢が集まりにくいとも言われますが、矢先に重りをいれるなどして調整している方もいます。
2つ目に、曲がらないことです。的場の安土がわりに畳を立てておくことが多いので、矢が深く刺さって抜けにくいことがあります。矢取の際に力を加えても曲がりにくいカーボン素材は遠的に矢数をかける国体選手に御用達となっています。
あとがき
遠的ができるようになると、弓道の楽しみの幅が広がります。特に60m飛ばすときの爽快感は、近的では味わえません。遠的矢をそろえて、ぜひトライしてみてください。