- 五段審査を受ける予定です。
- 五胴について教えてください。
- できれば解答例が見たいです。
そんな要望にお応えします。
2019年度から学科試験問題が変更されました!
数年に一度、学科試験問題の見直しが行われます。
ちょうど今年度が問題の見直しの年となりました。
今年度の問題にはハラスメントについての心がけを述べるなど、教本に載っていないようなことも散見されます。
さらに弓道の知識を深めるという意味でも、審査を機会に勉強してみてはいかがでしょうか。
改訂後の試験問題は全日本弓道連盟のホームページより閲覧できます。
参考元:公益財団法人 全日本弓道連盟 申請書類各種
審査を受ける方にはマストアイテムです。
試験時間と合格点
学科試験時間は60分間です。
合格点は100点満点中60点といわれています。
ただし、採点基準は公開されていません。
A群「五胴」について説明しなさい。
まず、A群は用語や動作の説明を求められる傾向があります。
自分の意見を述べるよりも、正しく言葉の意味を説明することに重きを置くことが肝要です。
この設問は、「五胴」の説明をすれば解答となります。
しかし、五胴の列挙だけでは文字数が少なくなってしまいます。
そこで、胴造りの注意点や理想の胴造りについて解説して、理解度をアピールしましょう。
設問の解説と解答例
まず、「五胴」を説明します。
弓道教本には以下のように記述があります。
[注]
(一)胴造りには、反・屈・懸・退・中の五つの胴造りがあり、これを五胴(五身ともいう)という。いずれも目的と場合によって使われる練達者の応用動作である。
(二)(略)
(三)右の五種類はつぎのとおりである。
反る胴(上体が後方に反るもの)
屈む胴(上体が前にかがむもの)
懸る胴(体が的の方に傾くもの)
退く胴(体が右に傾くもの)
中胴(中正な胴造りで体の重心の最も安定したもの)引用元:弓道教本第一巻射法編108頁-109頁
胴造りの注意事項のなかに、「五胴」が列挙されています。
解答はここに肉付けして作成完了となります。
しかし、それはあくまで現代の近的競技においてという条件付きなのです。
弓道教本の「いずれも目的と場合によって使われる練達者の応用動作である。」という文言からも推測できるでしょう。
意外かもしれませんが、五胴は目的や場合に応じて使い分けるものなのです。
例えば、遠的では腰きりをして、退く胴に変化させることで60メートル先の的に矢を飛ばします。
反対に近い的を狙う場合は、懸る胴の方が都合がよいでしょう。
このように、的の距離や位置に応じて胴は使い分けることもできるのです。
それでは、胴造りについて弓道教本での記述を確認しましょう。
第二 胴造り(どうづくり)
「胴造り」は「足踏み」を基礎として両脚の上に上体を正しく安静におき、腰を据え、左右の肩を沈め、脊柱および項を真直ぐに伸ばし、総体の重心を腰の中央におき、心気を丹田におさめる動作である。
この場合、弓の本弭は左膝頭におき、右手は右腰の辺にとる。
以上の動作と配置によって全身の均整を整え、縦は天地に伸び、横は左右に自由に働けるような、やわらかい且つ隙のない体の構えを作るとともに気息をととのえることが肝要である。
こうした鎮静的な動作は、つぎの活動的な動作へ移る前提であり、「胴造り」は終始行射の根幹となり、射の良否を決定する。
「胴造り」は、外形的には一見きわめて単純な動作のようにみえるが、内的にはまことに重要なものである。引用元:弓道教本第一巻射法編107頁-108頁
以上をもって、解答を作成します。
胴造りには、反・屈・懸・退・中の五つの胴造りがあり、これを五胴(五身)という。
五胴は以下のとおりである。
- 反る胴(上体が後方に反るもの)
- 屈む胴(上体が前にかがむもの)
- 懸る胴(体が的の方に傾くもの)
- 退く胴(体が右に傾くもの)
- 中胴(中正な胴造りで体の重心の最も安定したもの)
現代の近的競技においては、中胴が理想とされている。
「胴造り」は終始行射の根幹となり、射の良否を決定する。
外形的には一見きわめて単純な動作のようにみえるが、内的にはまことに重要なものである。
全身の均整を整え、縦は天地に伸び、横は左右に自由に働けるような、やわらかい且つ隙のない体の構えを作るとともに気息をととのえることが肝要である。
そのほかの学科試験問題や実技審査について
本記事では「五胴」について解説しました。
その他の学科試験問題や実技審査については以下の記事を参考にしてください。
[…] 上記については、【2019年度版】弓道の学科試験問題「五胴」の解答例【五段審査】において詳しく解説しています。 […]
[…] 過去の記事「【2019年度版】弓道の学科試験問題「五胴」の解答例【五段審査】」においても詳しく解説しています。 […]