- 手の内について知りたい。
- 手の内が痛い。
- 上手く弓返りしない。
- 顔や腕をよく払う。
そんなお悩みについてお答えしていきます。
ぶっちゃけ手の内はめちゃくちゃ難しいです。手の内を明かすという言葉があるように、弓道における手の内も武士の時代に他の流派の人に明かさない秘伝の技術というルーツがあるからなんですね。
そんなに重要な技術なんか私には無理無理とあきらめるのではなくて、70~80点くらいを目標に取り組んでみましょう。基本を身に付けることができれば、今後手先のことで悩むことが少なくなりますし、何より目に見えて射癖が改善されていきます。それではさっそく解説していきましょー。
手の内は矢をまっすぐ飛ばす技術
日本の弓の握り部分は弓の中央にあるわけではありません。握りから上:握りから下がだいたい2:1になっています。
これは下側の曲線が強くなるので、上に飛びやすい構造というわけです。
また矢は弓の右側、射手の体の反対側に番えておきます。
つまり、そのまま発射すると右側に飛ぶのです。
この右上に飛びやすい性質のある和弓において、まっすぐ的に矢を飛ばす技術こそ、手の内の働きなのです。
角見を使って矢をまっすぐ飛ばす
- 角見…親指の付け根あたり。
この部分に弓をあてて、押し返すことで的方向に矢を飛ばせるようになります。離れでこぶし一個分後ろに移動する理由でもあります。
ただし角見だけで押すわけではないので注意が必要です。点で押すような意識だと角見だけが痛くなってしまいます。
弓は握るのではなく絞る・締める
弓道の手の内には握卵・卵中という秘伝ワードがあります。
卵を握るようにやさしく柔らかく、落とさない程度の力で弓を持てという例えだと言われています。
正しく手の内が作れると、弓は握るのではなく締まっていくような感覚が得られます。
射癖改善につながる
角見が利くようになると、顔や腕を打つ・払うことがなくなります。
さらに握卵が実現できると、弓返りにもつながります。
手の内の改善で悩ましい射癖が減り、弓道をもっと楽しめるようになるでしょう。
手の内の作り方、押し方
それでは、具体的な手の内の作り方について解説していきます。重要なのは手のひらの3つの場所です。
- 角見(つのみ)…親指の付け根あたり。
- 虎口(ここう)…親指と人差し指の股にある、水かき部分。
- 天文筋(てんもんすじ)…人差し指下から小指下までを結んだ線。四指を握る方向に折ったとき、できるシワが目安。
これら3点を使って、弓を支えて押し返します。
天文筋をまっすぐ弓にあてる
弓構えで取懸けた後、親指の内側を弓の右側に、天文筋を弓の外側の左側にあて、はさみこむようにします。
このとき天文筋が弓と一直線に接し、手の内と弓が十文字を形成するようにします。五重十文字のひとつですね。
三指をそろえる
そのあと、中指・薬指・小指をそろえて弓につけます。
親指と中指は接触させ、多少の流派の違いはありますが中指の爪が半分隠れるくらいのところに親指をおきます。親指と中指でつくった輪を崩さないで押す意識があるといいかもです。
弓の外側と指の間に矢一本分くらいのすきまができているはずです。
虎口で弓を受ける
水かき部分で弓を受けます。下から摺り上げるようにつくる指導もありますが、やりすぎると痛みを伴うので、ほどほどでいいと思います。
それより打起しから大三で虎口を少し開くようにして、弓が入ってきて力を感じる・受けることが大切です。
人差し指は軽く曲げておくのがよいかと。伸びている=手の内に力が入っているだと思います。
弓の力をしっかり矢に伝えるための4つのポイント
手の内をつくる際のポイントは以下の通りです。
- 中押し
- 親指をはねる・伸ばす
- できるだけ小さく作る
- 毎回同じように作る
詳しく解説していきます。
中押し is best
普通に弓を握るとべた押しになりやすいです。
これを矯正するために上押しをかけるように指導することがあります。
つまり、上押しにしてほしいわけではなくてそのバランスがとれた状態、中押しこそ目指すべき形と言えます。
親指をはねる・伸ばす
親指はまっすぐ伸ばし、爪を上に向けるか反らせるように心がけましょう。
どうしても下に向いてしまう場合は、力が入りすぎているか、握りが太くて物理的に実現が難しい可能性があります。
握りについては細い弓を使うか、握り革と弓の間のゴム板を薄くして調整しましょう。
できるだけ小さく作る
弓に効率よく力を伝えるには、弓と手の内の接地面をなるべく小さくすることが大切です。
スニーカーで踏まれるより、ハイヒールのかかとに踏まれた方が痛いように、面積が小さいほうが力が大きくかかります。
小指を親指の根元に近づけるようにして手のひらを締め、小さく手の内を作りましょう。
毎回おなじように作る
矢が籐を摺るように、握り革と籐の境界線に矢の下側が通るようにします。
弓構えで手の内つくる位置は、会の時点での手の形を基準にします。手の内の親指の一番高いところがその境界線に合うように、手の内を作る位置を決めましょう。
また正面打起しの場合、打起しから大三への移行で手の内が崩れやすいので握卵を意識して、軽く弓を回せるように工夫する必要があります。
【まとめ】手の内で80点をめざそう。
手の内の改善は割とコスパがいいです。結果が的中や射形など目に見えてわかるので、やりがいもあります。
正直100パーセント完璧にすることは難しいでしょう。しかし、世の中にはパレートの法則というものがあります。80点を取るのに2割の時間がかかり、残りの20点を取るのに8割の時間がかかるといものです。
手の内も70~80点くらいなら比較的早い段階でマスターできるはずです。それでも十分な効果を得られますから、基本に忠実に手の内の研究をしてみましょう。